アントニン・アルトーは1930年代に活躍したフランスの詩人です。彼は医師から精神異常者のレッテルを貼られました。そのため彼は監禁され、電気ショック療法を受けるはめになりました。なぜこんな事態になったかと申しますと、アルトーが自然の岩に顔を見出だしたからです。
1936年、彼はメキシコに向かいました。サボテンから抽出した物質が意識を変容させる働きがあるため、それを試すためです。その結果、彼はそれまで見えなかったものを見られるようになったとのことです。その光景は当地の人々が信仰する宗教的なシンボルと全く同じものでした。そればかりか、土地の人々自体、彼が岩に見出だした顔に似通っていたのです。
アルトーは、古代の偉大な秘密を見つけたような気分になりました。世界中の自然を見渡すと、似たような現象を見ることができます。私はこれを「シミュラクラ(Simulacra)」と呼ぶことにしました。アルトーによると、メキシコでは、風景全体が土地の人々や生き物と調和するかのように形作られていたとのことです。
これは神の作品なのでしょうか?そんな疑問を抱きながら意気揚々と帰国したアルトーを待っていたのは、頭のネジがはずれた医師たちの罠でした。
アルトーの話を聞いて、私も興奮を覚えました。人は生まれつき、ものにパターンを見出だそうとする傾向があります。
それと同時に、自然自体模様を作ります。時にはその模様に明白な意味が潜んでいることもあります。蝶々が羽を広げると、怪物を思わせる模様が現われます。他の生き物にしても同じで、体に模様を持つものがあります。もちろん、それは敵を威嚇するためです。
自然はシンボルで溢れかえっています。顔が到るところに見られます。蟹の甲羅、蜘蛛の背中、通り過ぎる雲、古木の朽ちかけた枝、等々。英国ヨークシャー州はペイトリー橋の近くにあるブリハム岩は、全体が生き物に似せたデザイン・センターのようです(上の写真参照)。人間や動物に混じって、得体の知れないものが、突出した岩に刻まれています。
アルトーの発言に関して私を興奮させたのは、自然の形作るイメージが、土地の人々や生物に似通っているということでした。私はその例をいくつか見つけることに成功しました。一例を挙げますと、ウェールズで、鼻のとがった女性の横顔を連想させる岩を見つけました。当地の男性から手紙をもらい、その顔が彼の妻にそっくりだという話を聞かされ、うれしい思いをしたことがあります。
というわけで、以上は一体何を意味しているのでしょうか?私には分かりません。でも、魔法と関わりがあるのではないかと思っています。
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The Secret Face of Nature
Jurgen Kronig (著)
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英国に在住するドイツ人ジャーナリストが、世界中の秘境を巡って撮影した、驚異の写真集です。海岸の岩や森の樹木、そして空の雲に到るまで、自然が偶然に(?)作り出した、人の顔や動物、そして神話の主人公や小人たちが、あなたを異次元の世界へと誘います。洋書ですが、写真集のため、英語が分からない方でも大丈夫です。お休み前のひととき、ベッドの中で眺める本として最適。話の種としてもいいですよ。
ハイライトの一つは、英国ウィルトシャー州で撮影された写真(54ページ)。古木が二本そびえ、その根が地表を縦横無尽に這っています。作家のトールキンは、ここに座り、長時間瞑想に耽りながら、「ロード・オブ・ザ・リング」の構想を練ったとされています。さて、一本の木の根元を見ると、あたかもトロール(いたずら好きの小人)が穴から這い出そうとしているように見えるのです!