古代チベット医療
マーク・ウィンター

古代チベット医療は現代でも実践されています。もっとも、他のチベット文化同様、チベット本国自体はその例に漏れるのですが…。インドのダルマサラに本拠を置く「チベット医療と占星術協会」の副会長、テンパ・チョーペル博士は、次のように語ります。「チベット医療はインドおよび中国の伝統を受け継ぐものであり、二千年の伝統を誇ります。」

このヒマラヤを起源とする医療体系によると、健康を保つコツは、バランスの取れた食生活にあるそうです。更には、食生活同様、生活のバランスを取ることも大切です。そんな均衡を保つ鍵となるのが、人間を成り立たせている三つの気質の調和です。三つの気質は宇宙を構成する要素と同一のものだそうです。ただし、それらを肉眼で見ることはできません。なぜなら、三つの気質が人間の微弱体のエネルギーやエッセンスを内包するからです。

三つの気質とは、胆汁です。チベット医療の医師は、個人の体内で、三つの気質の内、どれが最も優勢かによって、患者を分類します。チョーペル博士は、自分の住む環境に応じて、最も望ましい食べ物を取ることが重要だと語ります。また、季節の食べ物を取ることも大切だそうです。

「心が物質を制する」という考え方は、この全体観的医学体系の、もう一つの柱を成すものです。仏教同様、チベットの宗教は、全ての病気の根源が、現実の本質を見失うことにあると考えています。

我々は人生が過渡的なものであるということを放念し、チベット人が言うところの、三毒に冒されてしまいます。三毒とは、欲望憎悪幻滅です。これらは伝統的に、鶏、蛇、そして豚によって象徴されています。しかしながら、この種の混乱は諸刃の剣とも言えます。なぜなら、苦しむことによって、人間存在の本質を問うようになり、その結果、健康的な生活を志向するようになるからです。

患者を診察するために用いられるのが、お灸と脈拍です。更に医師は占星術を用いて、患者の意識に波動を合わせ、肉体的、精神的、そして霊的な健康状態を総合的に判断するわけです。